熊の駆除費用に使える補助金は?

熊被害の対策には、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金が活用できます。本コラムでは、鳥獣被害防止総合対策交付金の概要や熊対策に関する疑問を分かりやすく解説します。
梅沢 博香

更新日:

熊の駆除費用に使える補助金は?

この記事を監修した専門家

監修専門家: 井上卓也行政書士

井上 卓也

代表・行政書士

補助金・助成金を専門とする行政書士として、補助金申請サポート実績300社以上を有する。

慶應義塾大学卒業後、大手製薬会社での経験を積んだ後、栃木県・兵庫県に行政書士事務所を開業。 『事業再構築補助金』、『ものづくり補助金』、『IT導入補助金』をはじめ、地方自治体を含む幅広いジャンルの補助金に精通。 リモートを中心に全国の事業者の補助金申請サポートを行っている。

コラムのポイント

  • 熊被害に悩む農家などが使える制度は鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)
  • 鳥獣被害防止総合対策交付金の申請の窓口は自治体
  • 鳥獣被害防止総合対策交付金の補助対象は電気柵や罠の設置、防護装備など

熊対策に農家などが使える補助金は?

熊被害に対する制度としては、農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金があります。鳥獣被害防止総合対策交付金は、農家の方や地域の住民も、自治体を通して利用できます。国の交付金を活用すると、電気柵や罠の設置、防護装備などの費用を最大半額補助されます。

熊対策に使える他の国の制度として、指定管理鳥獣対策事業交付金(環境省)もあります。しかし、この交付金は都道府県が主体となり、広域的な捕獲や出没防止の体制整備を行う制度のため、農家などの一般の方が直接申請する制度ではありません。

そのため、農家や地域の方が「自分たちの畑・集落を守る」ために活用できるのは、鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)です。

制度名主な申請主体農家が実際に使えるか
鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)市町村や地域協議会(農家・JA・猟友会などが構成)
使える(地域経由で実質利用可能)
指定管理鳥獣対策事業交付金(環境省)都道府県・広域協議会
個人や集落では申請不可

参考:鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)
参考:指定管理鳥獣対策事業交付金(環境省)

鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)

  • 電気柵・わな設置・果樹除去など、クマ被害対策の費用を最大で半額補助。
  • 市町村を通じて申請すれば、地域全体で支援を受けられる。
  • 被害が多い地域には最大3,000万円の補助が受けられる。

鳥獣被害防止総合対策交付金では、平時の対策と、クマの被害が急増したときの特別対策の2種類が用意されています。

平時は、電気柵の設置や果樹の除去など「被害を防ぐための予防対策」。被害が増えてきたときは、捕獲体制の強化やモニタリングなど「緊急時の特別支援」が受けられます。

平時のクマ対策(予防や日常的な管理)

対象となる費用補助率・上限
電気柵・防護柵の設置費用定額(上限148円/m)
捕獲用のわな・見回り経費経費の1/2以内(箱わなは上限11.9万円/基)
捕獲したクマの処理(頭数払い)定額(上限8,000円/頭)
放任果樹・竹林の除去、緩衝帯の整備経費の1/2以内(上限48万円/ha)
生息調査・研修会・ICT機器導入など定額(市町村あたり100〜200万円)

被害が急増したときの特別支援(クマ特別対策)

対象となる費用補助率・上限
被害の多い地域での集中捕獲・監視定額(都道府県3,000万円/協議会300万円まで)
捕獲体制の強化(ドローンや監視装置の導入、人材育成など)定額(内容により異なる)

相談・申請先は、お住まいの 市町村役場(農林課・鳥獣対策担当)または 都道府県の農林部局です。
参考:鳥獣被害防止総合対策交付金(農林水産省)

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よくある質問

Q1. 熊を駆除したハンターへの報奨金はいくらですか?

熊を捕獲・駆除したハンターに支払われる報奨金は、1頭あたり1〜5万円が一般的です。報奨金の水準は、被害の深刻度や自治体の財政状況によって変わります。

Q2. 鳥獣被害防止総合対策交付金は、農家個人でも申請できますか?

いいえ、個人での直接申請はできません。鳥獣被害防止総合対策交付金は、市町村や地域協議会(農家・JA・猟友会などで構成)を通じて申請する制度です。ただし、地域の鳥獣被害防止計画に参加している農家であれば、その取組の一部として電気柵や防護柵の設置費などの補助を実質的に受けられます。

Q3. 熊1頭の駆除にかかる費用はいくらぐらいですか?

熊の駆除には、1回の出動だけで2〜5万円前後、長期では年間10万円以上の経費がかかります。

熊の駆除には、以下のような具体的なコストが発生します。実際の金額は地域・季節・現場条件によって異なりますが、概算は次の通りです。

費用項目内容目安金額(1回あたり)
弾薬費銃弾や装備の維持費約3,000〜10,000円
燃料・移動費山林や現場までの移動にかかるガソリン代約2,000〜5,000円
防護・処理費防護ベスト、搬送・処理費など約5,000〜15,000円

このほか、通信費や安全講習の受講費、車両整備費などの「見えない出費」も発生します。結果として、1回の出動に少なくとも2万円以上、平均3〜5万円の負担が生じることが多いのです。

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監修者からのワンポイントアドバイス

毎日のようにTVでも話題になるクマの被害ですが、農家の方向けにクマ対策の補助金があります。 鳥獣被害防止総合対策交付金では、平時の対策とクマの被害が急増したときの特別対策の2種類が用意されていますので本記事が参考になれば幸いです。